ぶっ倒れ、鋭気/英気を養う

nori_shanghai2006-03-22

月曜の深夜、突然ぶっ倒れる。いや、火曜の明け方と言っても好い頃に。月曜の深夜1時までは宿舎で同僚とパター練習で大爆笑、面白いように奇跡が連鎖、みんな連続カップイン、さすが僕らの会社のチームワークばっちりですねー、ガハハ!なーんて言っていたら、その数時間後に地獄の到来。


深夜4時、お腹が重痛くってトイレに。これが続く。少しでも睡眠をすれば復活するかと思えど、朝はもっと辛い。胃の激痛と吐き気。悶絶。でも今は仕事が一番のピーク、会社で仕事が待っている。今、リーダーが会社を休んでどうする。そういう思いでとにかく這ってでも会社に出ようと決めた。が、会社ビルまで行くが一階ロビーで断念。病院に運ばれる、が、あえなく手前で嘔吐。



とにかくこの数週間は会社組織全体のフレームワーク・役割、責任、実務の整合/バランスを整える、とても実務から離れた仕事をしてきた。生々しくって、blogのネタになんかひとつもなりやしない仕事。責任の重さは明らかに、今の僕のキャパを凌駕している。受け入れるまでに時間を要していた。ちょっとしんどかったんだろね。



初日の様子に戻す。吐き気。悶絶。中国の田舎ローカル病院のあのどろーんとした景色と空気。不清潔感。普通語が通じず、方言/異国語での説明によりいっそう増す不安感。ぼやーっとする意識。腹を刺すような痛み。よく分からんが強制的に入院を勧める看護婦の態度。


それでもその看護婦のコネで順番待ちも少なく検査できたんだな、謝謝



昼前にちょっと身体を休めに宿舎に戻るとアイー登場、サンキュー。アイーが作ってくれた3人前分位あるお粥と油まみれの卵焼きx3枚。あなたのサービス精神、十二分に愛してます、でもね、アイーさん、僕は胃腸をぶっ壊し、盲腸を宣告されているボロボロの患者。そんなの食えませんぜよ。


検査結果出来了。最終的には入院を拒絶し、点滴治療を。人生初の点滴。3時間、本を読もうと思ったが、手首に点滴を打たれ、左手が使えず、頁をめくれず断念。何も考えないと、外部の異物が体内に注入される微痛でそれも苦痛。寝るしかない。でもそれまでたっぷり寝ていて、眠れない。


点滴せぬも苦痛。点滴するも退屈地獄。死にそう。暇な看護婦さんとの強制的な中国語会話セッション30分を終え、睡眠2時間後にやっと点滴が終わる。



そして、その夜は上海の病院へ連行され、再検査。外国人向けの綺麗な病院。入院ウェルカムな位にビューティフル。安心感あるなー、こりゃ。病は気から。やっぱきれいな病院の方が信用できますな。さて、その段階では体調はかなり復活。盲腸部分を強烈に押されるもなんのフィールノーペイン。一点都不痛。ただ、身体がだるいだけ。


実は、上海病院で一番悶絶したのが、アメリカ人なドクターと中国人の看護婦さんとの会話で、英語と中国語がうまく切り替わらない現実。。。もはや、中国的文法/語彙の方が英語よりも先に脳裏に浮かび、スムーズな英語が口をつかない。誰だよ、英語と中国語の分法が似てるなんて言ってるヤツは、 speak more. = 多説一点 だよ。全然逆じゃねーか。口語をしゃべるときにはこの語順がスムーズに瞬時に浮かぶことが必須であり、その点で言えば、もはや僕の外国語文法は中国語に侵されており、英語はしゃべれないも同然だ。おーい、戻ってこい、マイ英語!



さて、次の日、そう今日。今朝からダルさも抜けて快調x3。妻が朝から粥や雑炊やうどんを作ってくれるおかげで、徐々にパワーがみなぎってくる感じ。散歩でもすっか。いやいやストップ、今日は身体を休めなきゃ。昼くらいにはもう健康時と同じ位快調な気分。ただ、ほぼ30時間振りに食物を迎え入れる胃腸達が消化任務を忘却してしまったようで、腹にモノを入れるたびにキリキリする。



ノーストレス・ノーライフも道理だと思うが、こんな日はノーミュージック・ノーライフを貫こう。とにかく、仕事の事は考えず。大好きな音楽と小説だけに囲まれよう(だってどう足掻いてもテニスはできないしな)。ってことで、書いためていた、古川日出男作品を2作読破しようとするも、どっちも長編過ぎて1.5冊分読んだところで今日の所はgive up。やっぱ、彼の音楽的な文体/リズムはいいなぁー。そして、気に入っているのは、彼は自身の音楽的背景・趣向なりを作品にぶつけてくる作家だってこと。決定的に僕を刺激してやまないのは、彼が作品に投影する音楽歴/音楽に求めている事が僕にとても近いってこと。例えば、彼以前の作家(僕は多読家ではなく比較対象となる作家は多くないないが、例えば村上龍/春樹とかとしよう)の作品上でメタファーとして音楽/バンド名/アーティスト名が登場するとする。ロックやジャズミュージックには愛情を傾けている分、そのメタファーの意味がなんとなく人よりも分かる気はする。それでも、卓上で得た知識で理解してるに過ぎないんだな、完全に身体でびびっと感じられていない。なんとなく分かっている気がしている自分に酔っているだけな背伸び読み。「ビルエバンズが流れて」って書かれもさー、じゃぁ厳密にそこがジャレット、モンクだったら皮膚感覚的にどうなるのさってがよく分からん。なんとなくごまかされている感じ。その感じが、古川日出男の作品にはない。彼は66年生まれ。僕と9年違うからそりゃ、僕の感覚よりも少しずれるけれど、かぶっている部分はもう完全に僕の音楽感情に直接リンクしちゃう感じ。びびっとくすぐられる。やっと登場したよ、僕らの時代を物語ってくれる語り部が。そんな気分。



饒舌ついでに今日1日流れていたBGMはといえば、ONJODCPRGWilcoPavementYo La Tengo, Quruli。そう、僕と同時代を生きるバンド達。やっぱ、僕には、ハウスの優しく包むようなビートの粒子よりも、テクノのバキバキとした音の洪水よりも、ぐぃーんと唸るフィードバックギターの響きがしっくるくるぜ。


冗長ついでにもう一つ。今回ぶっ倒れたのは、プレッシャーでもなんもなく、前日の韓国料理屋で食いまくったのが原因みたい。元々胃腸は強くないからね、あー、かっこわる。



明日からリセット、頑張ります!